青木マリduo+(ゲスト:柴田奈穂)2016.2.26

2014年7月14日月曜日

「三つの願い―パレスチナとイスラエルの子どもたち」 ~「壁」

イスラエル政府による、パレスチナ自治区への空爆がつづいています。

SNSにも胸が張り裂かれるような写真があふれています。

遠い国での出来事だけれど、間違いなく無関係では無く、
政治的には、準同盟国という共同声明を最近発表した日本とイスラエル。
集団的自衛権の解釈改憲の閣議決定、武器輸出三原則見直し、経済成長戦略、みんなつながっている。ように思える。

つながりたくないのに、否応なく組み込まれている。ように感じる。胸が痛い。

どうしたら、こんな蛮行を無くすことができるんだろう。


昨年、「三つの願い―パレスチナとイスラエルの子どもたち」という本を読みました。
パレスチナとイスラエルの18人の子供たちへのインタビュー集で、青木マリTrioのnewCD「Habibi」の中の「壁」という曲の歌詞のイメージの元になった本です。

子どもたちの見たまま感じたままの語り口から、双方の日常、立場、考え方が浮き彫りにされていて、遠い国の良く分からない宗教対立、から、一気にリアルな出来事として不勉強なわたし中の認識を変えてくれました。
パレスチナでは、入植が進んで「壁」ができ、ほんの数ブロック先の学校への行き帰り毎日何時間もかけて検問を通らなくてはいけないこと、イスラエル兵に石を投げて撃たれた少年、突然家を破壊される日常が、また、イスラエルの子たちからは、「壁」の外にいる憎悪むき出しの「敵」への恐怖等が語られています。
特に幼い子どもたちの、相手への無理解や憎しみの言葉には、打ちのめされてしまいますが、「壁」ができる前に物心ついていた年齢の子どもたちは、「以前は一緒に向こうの子と一緒に勉強することもあった、みんな普通のこどもだった。」と語っています。
交流を持った経験の有る無しで、相手への思いが大きく違うことを感じました。

最後の方に登場する、イスラエルの15歳の少年の言葉が印象的です。「自分はもうすぐ徴兵されて兵士になる。兵士は民衆を守らなくてはいけない。つまり、イスラエル人も、パレスチナ人も守る。
入植には反対だ。みんながそれぞれ少しづつは我慢をしなくてはいけないよ。」
記憶の上なので正確ではないと思うけれど、大体こんなことを言っていました。

2005年の出版ということは、彼はもう大人になり兵役もすませているんだろうか。今の現状の中、矛盾に責めさいなまれてはいないだろうか。

イスラエル国内でも、空爆に反対する声は上がっていると聞きます。
壁の向こうのにあるのは、いつだって同じような人々の営み、の、はず。
全ての壁、隔たりを取り払うことは出来なくても、壁に扉を付けることはできるんじゃないだろうか。

作者のデボラ・エリスさんは言っています。
「この中東の地でおこった戦争は、まるで永久に終わらないかのように感じられることもあります。しかし、戦争というのは、人間のそのほかの行為と同様、一つの選択なのです。」

もう少し目を開いて、自分の問題として、未来がどうなっていてほしいのかを考え続けて行きたい。
考え、願うことは、個人の行動を少しづつ変えていく。ひとりひとり、一つ一つの行為が、すべて未来への選択肢であることを、自覚していきたい。


まずは、いまある破壊と殺戮の残虐行為がすべて今すぐ終了することを、切に願っています。



三つの願い―パレスチナとイスラエルの子どもたち
デボラ・エリス=著
もりうち すみこ=訳
出版社: さえら書房





次回のライブは、
7月21日(月・祝)大塚ウェルカムバック
「夏のオレペコひなまつりLIVE」
 青木マリ+小林洋+三ツ井嘉子(fl.)です。






0 件のコメント:

コメントを投稿