その日は同居の母は旅行に行ってしまい、その母の事務関係のちょっとしたトラブルのケアで朝から奔走、朝の犬の散歩が昼過ぎになってしまった、雨上がりの土曜の午後のことでした。
うちの犬の「琴さん」と息子と散歩をした帰り道、家の近所の通りで、すれ違った人が何かを見てびっくりした顔で通り過ぎていきました。
「なんだろ?」と思って目線の方を見ると、「あっ!」マンションの横の細い通路のタイルの上に、小さな生き物が!たたんだタオルに無造作に乗せられて吹きっさらしに放置されていました。
息子に声をかけ、近づくと、どうやら生後間もない子猫のよう。薄い茶虎のようなモフモフがうずくまっていました。
「あ、あ、あ、ど、ど、どうしよう~。」
連れて帰っても、飼えないよね、ダンナさん猫アレルギーだし、大体助かるのかな、すごいちっちゃいよ~。でもほっといた死んじゃうよね。など頭がぐるぐる~っ「そうだ、ニャンダラーズさんに聴いてみよう!」
「ニャンダラーズ」は高円寺稲生座のスタッフのレイチェルくんを中心とした動物の保護活動のグループ。即座にレイチェルくんにTEL。
かくかくしかじか、事態を説明して、やっぱり放っておけば死んじゃうのでとりあえず保護、なんて話していたら、じっと我慢していた琴さんが、突然子猫ちゃんに近寄って鼻でクイクイ転がしはじめ、猫はタオルからはみ出して水たまりの中に。わ~っ濡れちゃった、ヤバイヤバイ!この瞬間にお持ち帰りが決定したのでした。
持っていた手拭いに乗せて抱き上げると片手に収まるような大きさ。目も、まだロクに開いてない。目ヤニ鼻汁だらけだし、あちこち汚れてる。だいじょうぶかなあ。
ともかく連れ帰って、レイチェルくんのアドバイス通り、段ボール箱にタオル、ホッカイロで保温、保湿して、低温殺菌牛乳を買いに走ってぬるめの燗してスポイトで飲ませてみました。ほんの1ccくらいをやっと飲んだけど、だいじょうぶかなあ。
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拾った日 |
こどもの用事の時間で、あー、もう行かなくちゃ。このまま置いといてだいじょうぶかなあ。犬もいて心配だから二段ベッドの上に置こう。
もー、心配ばっかり。朝から一体なんなんだ~。
こどもの用事がすんで急いで自転車で帰りがてら、友達の家に遊びに行っていた娘をピックアップ。
「子猫ひろっちゃったよ~」「え~っ!」
娘もびっくり、早く早く~、と家に帰り、箱のふたを開けると、良かった、生きてる~。ちょうど三時間ぐらい時間がたってたので、早速ミルクタイム。無理やり口に流し込むように飲ませても小さなスポイトに半分も飲めない。目ヤニを拭いてやると、かすかに目を開けるけど、あんまり見えてないみたい。瞳孔開きっぱなしで目がまっ黒で宇宙人っぽくてちょっと怖い。
手足は動かすけど、力も弱い、後ろ足は片方は萎えてる。だいじょうぶかなあ。
しっぽにはまだ毛が生えてなくて、ネズミみたい。何かこびりついてるからゆっくり溶かしながら拭いたら、赤くなっちゃって、あらら、だいじょうぶかなあ。
声も出なくて口を開けて「カハッ」とか言ってるけど、いいのかしら。
そのうちダンナが帰ってきて、ダンナもびっくり!アレルギーだけど猫好きなので、何気にかわいがってる。
琴さんはさっき叱られたので、それっきりさわらぬ神に祟りなし、を決め込んでます。
夜中に目からドバーッって膿みたいな目ヤニが出て、「ギャー目がつぶれた~!」って思ったら目がパッチリ開いたり。
子猫なんて初めてだし、よくわからなくて心配ばかり。
レイチェルくんからのこまめなメールのアドバイス、とっても助かりました。ほんとにありがとう。
にしても、思いがけずの赤ちゃんの来訪、三時間ごとのミルク、おシモのお世話。いや~、シンドイ。もう赤ちゃんを産み育てる年齢じゃない私には突然のハードワークで参りました~。自分の子供は母乳だったから深夜の授乳は寝っ転がったまま半分眠りながらでOKだったけど、この場合はそうもいかず。
イベント制作なども重なってかーさん寝不足でフラフラです。
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三日目。目が開いた。 |
やっぱり、情が移ってしまって、それはそれで、すごく寂しい。すごくつらい。
冷静に考えれば、アレルギーの問題、ライブや、子供、犬の世話でもはや手一杯の私。かなり無理があるよね。わかってはいるんだけど、、。
子供たちも離れたくない様子だったので、里親さんの娘さん逹には少し待ってもらって、結局、一週間我が家に滞在してもらうことになりました。
その間に猫ちゃんはどんどん元気になり、心配していた足もしっかりしてズリズリハイハイするようになり、ミルクもスポイトに二本分、自分からチューチューするようになり、オシッコもチョロロロ~、そして、ずっと出なくて心配だったウンPも!牛乳しか飲んでないのにしっかり固形でビックリ!
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5日目。初ウンP中。この時だけはじっとしてるので、 唯一きれいに撮れてます(笑) |
声もミーミー、すっかり猫ちゃんらしくなりました。
すごい成長の速さ。元気になってくれてほんとにヨカッタ。
これで、安心して里子に出せるわ。
約束の日がきて、無事に猫ちゃんは貰われて行きました。
里親になってくれたお宅はとても生き物が好きで、安心してお任せできるし、娘の仲良しのお友達だから、いつでも会いに行ける。だから大丈夫。
そう思ってもやっぱり寂しくて、最初の日は悲しくなってしまった。
こどもが離れていくのってこんな感じなのかなあ。
次の日、娘は早速そのお宅に遊びに行き、わたしも猫に会いたくて息子と一緒に娘のお迎えに行きました。そのおうちで、元気に可愛がられている様子を見て、なんだか、スッと、寂しさが消えて、幸せになるんだね、よかったね、という気持ちに変わり、つらさがなくなりました。いや、ほんとによかった、ありがとう。
わが家では仮に「ちーちゃん」とよばれていた猫ちゃんですが、そのお友達の姉妹に、新しい名前をつけてもらいました。その名は「八朔」ちゃん!うちの娘がはっさくが好きでしょっちゅう食べていたので、それにちなんで付けてくれたそうです。ちょっと変わった名前だけど、よく考えるとその子たちの優しい気持ちにすっかりうれしくなりました。
うちの子の気持ちを気遣ってくれたんだよね。ありがとう。
その後もたまに会いに行くと見るたびに大きくしっかりしていって、あっという間に立派な子猫さんになりました。琴さんを連れていったら、いっちょ前に「シャアーッ」とか言って威嚇してるし(笑)
そういえば、しばらく会ってないなあ。
きっともう走り回っているだろな。
また会いに行きます。里親さま、どうぞよろしくお願いします。ほんとにほんとにありがとう。
元気でね、幸せにくらしてね。猫の八朔ちゃん!
次回のライブはこれ!
5/22稲生座、tamatasaレコードpresents[Coz We Need Music! vol.!]
LUI&SHADOW、duo+、ゼッタイ楽しいです。きてね!これがそのミルクをやりながらつくってたフライヤー!
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